文/紫貴あき
9th glass of wine
「サマー・イン・ア・ボトル」
「ムートン・カデ・ロゼ・オーガニック」
「ロゼを飲めば、
悲しいことも忘れるさ」。
アメリカの文豪ヘミングウェイはロゼワインを1日3本飲んだとか。飲まないと書けないワケではない、きっとそれ以上の魅力がロゼワインにはあるのです。
ロゼの飲み方自由宣言!?
それははじめてシャンパーニュ地方に訪れたときのこと。エペルネ駅近くのビストロのテラス席で、フランス人老夫婦がロゼワインをボトルで飲んでいたのです。楽しそうにおしゃべりしている2人の頬もピンク色。驚いたのは、カラフェの水をロゼワインにドボドボと注いで割って飲みはじめたことです。その光景に衝撃を受けつつも、安堵の気持ちになったのです。「そうか!ロゼワインって気軽に飲んでもいいんだ」と。
救世主現れる
ワインというアルコールが、背伸びして、かっこつけて飲まなければいけないものになってしまったのはいつからでしょう。ワイン消費量が世界的に減少し、酔わないライフスタイル“Sober Curious((ソーバー・キュリアス)”という言葉をあちこちで耳にするようになったのもしょうがないのかもしれません。 そんな中、ロゼワインこそがワイン消費量減少をくい止める救世主なのかもしれない、と最近感じさせられるようになりました。なぜなら、もっと自由な飲み方、場所、スタイルが提案されているのがロゼワインだからです。
ニューヨーカーもロゼがお好き!?
アメリカのニューヨーク州は、ロゼワインで最も熱い場所です。今、全米でニューヨーク州がもっともロゼワインを消費していることは案外知られていません。なかでも有名なのがロングアイランド。この場所には、マンハッタンから車で1時間ほどいったセレブ達の別荘が連なります。ニューヨーカーの夏休みは長く、5月末から9月まで続きます。潮風に吹かれれば、雰囲気は南仏さながら。青い海、青い空を目の前に飲みたいのはやはりロゼワインではないでしょうか。
ピンクニックで飲みたいロゼ
遊びの天才アメリカ人が企画したイベントが「Pinknic(ピンクニック)」。ドレスコードのロゼと白の服を身にまとい、ロゼワインを楽しむ夏の野外イベントです。こんなときに飲みたいイチ推しのワインが、全米で一番売れているウルフエステートの「サマー・イン・ザ・ボトル」。「ロングアイランドの夏がつまっている」というなんともロマンティックなワイン名です。フランボワーズ、レモンピールの香り、飲めばほんのり海の潮風のような塩味を後味に感じます。
ウォルファーエステート
サマー・イン・ア・ボトル・ロゼ 2022
品種/品種: メルロー48%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、シャルドネ 11.5%、カベルネ・フラン5%、リースリング4.5%、ピノ・ムニエ4%、カユガ4%、シラー2%
希望小売価格/5,700円(税抜)
赤ワインだけでないボルドー
「ボルドールージュ」とよく耳にしますが、もしかすると、10年もしたら「ボルドーロゼ」という言葉が普及するかもしれません。そう、ボルドーは赤ワインだけではなく、ロゼワインもじわじわと流行っているのです。
シャトー・ムートン・ロートシルトのバロン・フィリップ・ロスチャイルド氏のひ孫マチルダさんがはじめて手掛けたワインが「ムートン・カデ・ロゼ・オーガニック」です。動物性の素材を一切つかわずにつくったヴィーガンワイン。ヨーロッパでは、今、ヴィーガンに切り替える人が急上昇中です。マチルダさんの生まれ故郷のカップ・フェレの夏を描いたラベルもセンスが光ります。「氷をいれても、柑橘を浮かべても飲んでもいい」とマチルダさん。まさに「飲み方の自由」を提案してくれるワインなのです。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド
ムートン・カデ・ロゼ・オーガニック 2022
品種/メルロー100%
希望小売価格/2,000円(税込)
Yes, More Pink,
More Happy!
自由、柔軟、開放………ロゼワインは、つくり手にも、飲み手にも新鮮なアイディアをもたらしてくれます。ロゼワインがもっと消費されるようになれば、天国でヘミングウェイも喜んでいるかもしれません。飲めば飲むほど幸せになる酒、それがロゼなのです。