文/山田 靖
「ヱビスビール」は、1971年に米やコーンスターチを使わず麦芽とホップのみで造られるプレミアムビールとして登場した。いまではビール製造各社から味や製法にこだわったさまざまなビールが登場しているが、その意味で言うと元祖は「ヱビスビール」ではないだろうか? そのビール名ヱビスビールのルーツは、1890年、日本麦酒醸造会社(現サッポロビール株式会社)が、「ビール」の製造・販売を恵比寿の地で開始。恵比寿ブランドの楚がスタートしたわけだ。その後工場跡地は再開発され、1994年一大商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」に生まれ変わる。多くの人が訪れるまさに恵比寿のシンボルとなった。そして、28年後の2022年11月恵比寿ガーデンプレイスが大リニューアル。食住中心の商業施設となり、また以前からあった名画座的な映画館や写真美術館など多彩な世界観をもった文化情報発信タウンとして親しまれている。そのリニューアルから遅れること約2年。恵比寿ガーデンプレイスのアイコンの1つでもでもあった「ヱビスビール記念館」が大きく生まれ変わり、「YEBISU BREWERY TOKYO」として2024年4月にオープンした。
恵比寿のビール製造工場としての役目を終えたのは1988年だが、ヱビスビールのルーツであることを再確認する意味でも、35年ぶりに恵比寿で「YEBISU BREWERY TOKYO」開業とともにここでビール醸造を再開した。もちろん工場を再開させたのではなく、以前あった「ヱビスビール記念館」を最大級にパワーアップし、ヱビスのルーツに親しむミュージアム、ヱビスブランドのビール醸造を行うブルワリー、そしてブルワリーで生まれたオリジナルヱビスを楽しみながら、ヱビスブランドを視覚、味覚、嗅覚で体感する“圧倒的なリアル体験”をキーワードにした消費者とヱビスビールを繋ぐコミュニケーションスポットを誕生させたのである。
大きく3つのエリアに分かれている「YEBISU BREWERY TOKYO」
ミュージアムエリア(過去)
ヱビスのルーツに親しむエリア。ヱビスの歴史物語に加え、街と共にあったヱビスを過去の写真を探し出して公開。街と共に歩み、130年以上続いてきた唯一無二のブランドルーツを旅するように楽しめる。
ブルワリーエリア(現在)
ビール醸造を行うブルワリーエリアは、ドイツ製の醸造設備を採用。その釜の隣には「YEBISU BREWERY TOKYO」で醸造を担当するChief Experience Brewerのブリュワーズルームを配置。ご来場のタイミングによってはChief Experience Brewerと実際に会話もできるという。
タップルームエリア(未来)
実際にビールを飲めるタップルームエリアでは、通年で提供する「ヱビス ∞」「ヱビス ∞ ブラック」の他、期間限定や数量限定のヱビスを含む、多彩なヱビスが常時6種提供されている。
ヱビス ∞ (インフィニティ)ブラック:画像左
恵比寿工場で使用されていたヱビス酵母と香ばしく芳醇な黒麦芽に、オレンジのような香りのホップ「マンダリナバーバリア」を組み合わせた、黒ビールらしい深みがありながらもフルーティーなビール。通年提供。1,100円(税込)
ヱビス ∞(インフィニティ):画像中央
恵比寿工場で使用されていたヱビス酵母を再選抜し、今に復活。1890年のヱビスビール誕生当時に使用されていたと思われるドイツ産ファインアロマホップ「テトナンガー」を一部使用し、現代ならではのおいしさに蘇らせた、YEBISU BREWERY TOKYOのフラッグシップ商品。通年提供。1,100円(税込)
フォギーエール 2024:画像右
2種のホップをドライホッピングしたことによる、トロピカルな香りと霧のようにかすんだ液色が特徴的なIPA。とろりとした不思議な飲み口ながらも、ビールらしい苦味とフルーティーな香り。期間限定。1,200円(税込)
6月2日は恵比寿ビール坂祭も開催
「YEBISU BREWERY TOKYO」は開業1ヶ月でなんと来場者数35,000人を突破し、すでに大人気スポットでもある。未体験の皆さんも今週末あたり行かれてみてはいかがでしょう?ちなみに6月2日(土)は、恵比寿「ビール坂祭」が開催される。このビール坂とは、1887年に工場が開業した際、その工場で製造したビールを運ぶために馬車を使って恵比寿4丁目21・23の境から恵比寿1丁目21・24番地の境に下る坂を運搬したと言われ、そこを「ビール坂」と呼ぶようになったとか。
年2回、そのビール坂商店街の各店舗がいろいろな料理を露店で販売して盛り上がるお祭りが「ビール坂祭」。ビール坂祭を堪能して恵比寿ガーデンプレイスへ、そして最終ゴールは「YEBISU BREWERY TOKYO」でオリジナルビールを「クーッ」と楽しむ、というのはいかがだろう?
YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)
住所:東京都渋谷区恵比寿4-20-1 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL:03-5423-7255(受付時間 平日12:00~16:00)
平日:12時~20時 土曜・日曜・祝日:11:00~19:00
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
入場料:無料 入場時予約不要。
「YEBISU BREWERY TOKYO」サイトはここをタップ(外部サイト)
また5月よりガイド付きツアー「YEBISU the JOURNEY(ヱビス ザ ジャーニー)」も始まっている。ヱビスの歴史を巡るミュージアムと、ビールが醸造されているブルワリーを巡るガイド付きツアー。タップルーム内のビアストーミングルームエリアで、YEBISU BREWERY TOKYOのフラッグシップビール「ヱビス ∞(ヱビス インフィニティ)」1杯とおつまみ付き 料金:1,800円(税込)