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WINE

チリワインは「アフォーダブル・ラグジュアリーなワイン」である、と断言しよう!

チリワインは「高コスパという一面だけの評価にさようなら。
こんにちはファインワインの魅力」と宣言した!

チリワインを説明するとき、ここ数年は「日本における国別輸入先トップシェア(※6年連続首位だったが2021年7年ぶりにフランスがトップに返り咲きチリは2位)、「旨・安ワイン」として日常のテーブルで親しまれる「チリワイン」。これが枕詞のように使われてきた。
しかし、いまやそんな説明は“Out-Of-Date”。いくら地球の反対側の国だからって、チリワインの今をしらないワインデバイド?(チリデバイド?)は今日でさよならしよう!
今のチリワインはあなたにとっての「アフォーダブル・ラグジュアリーなワイン」ではないだろうか? その視線で考察してみた。

「92+」と銘打ったプレミアム・チリワインが勢揃い

少し前のこと業界向けではあったが、「Wine of Chile」が主催した試飲会&セミナーが東京で開催された。テーマは「92+ チリワイン セミナー」。これは、チリワイン全体が今後の自分たちの立ち位置は「高コスパという一面性だけの評価はさようなら。ファインワインの魅力にこんにちは」であると、堂々と宣言したある意味記念すべきイベントだったのだ。
「92+」とは国際的なワインの評価、世界の著名なワインジャーナリストや評論家が付けた点数を指している。ワインに興味があまりない読者でも「パーカーポイント」というワインの評価を聞いたことや、酒屋でのワインの説明に「パーカーポイト90点獲得」なんて文言を見たことあるのでは? 100点満点で著さない評論家や批評誌もあるけれど、パーカーポイントでは100~96点は格別、95~90点は傑出というゾーンと言われている。
そう、今回「Wine Of Chile」はその「92+」以上の評価されたいわゆる「プレミアム・チリワイン」のみ、その数40種類以上、13社の生産者を引き連れ、世界基準以上のワインをもっていまのチリワインについてプレゼンしたというワケだ。
その13社には、自転車ラベルでお馴染みの「コノスル」や「コンチャ・イ・トロ」など日本でもお馴染みブランドから未輸入ワインまで参加している。そう、「旨・安い」だけではもう語れないワインが目白押しだったというワケだ。

なぜチリは良質なワインを生み出せるのか?

「高得点ワインが多いから美味しい」ではただのお題目で終わってしまう。世界で認められる背景を少し説明しよう。と言っても、ワイン専門誌のように難しい内容にはしないのでご安心を。以下4つのキーワードから語ることとする。ちなみに今回、Wines Of Chileのアジア・ディレクターを務めるフェルナンド・ディアズさんがこの試飲会セミナーのために来日され話を聞くことが出来たので、その内容も合わせて解説してみたい。

Wines Of Chileのアジア・ディレクターを務めるフェルナンド・ディアズさん

その1「オーガニック」
一昔前の「チリワイン=安価」は、「大量生産」「雑な造り」というネガティブな言葉がイメージされたが実情はそうではない。一例として、チリではオーガニックの取り組みが結実している。良質なワイン造りを支える大きな要素は「テロワール」(土地の個性)であるが、チリは燦々と輝く夏の強い太陽、朝と夕方に吹く冷涼な風、雨はブドウにとって適切なときに適切な量が降るという「恵まれたテロワール」と言われているのだ。またチリの生産者は、植物と生物の環境である自然を活かすという意識を持っている。そしてワインを受け取る側(飲み手)、特に健康的なライフスタイルを優先する人々にとってオーガニックやビオディナミを含む自然で介入度の低いワイン(Low Intervention:人の手を極力介入しない造り方)は、人気を博しているという事実がある。
フェルナンド・ディアズさんも、「チリワイン産業における持続可能性と環境に優しい実践の促進に取り組んでいます。これには、有機農法やバイオダイナミック農法の採用、節水対策、エネルギー効率の高い技術、温室効果ガスの排出削減などが含まれます。さらに、生物多様性の保全、責任ある廃棄物管理、ブドウ園で働く人々の幸福に焦点を当てたイニシアティブも支援しています。チリのワイナリーのほとんどが、ブドウ畑、生産管理、観光、社会などさまざまな側面をカバーするサステイナビリティ・コードに従っていることは、私たちの誇りです」と語ってくれた。
もちろん、オーガニックだから、サステイナビリティだからそれが最良だなんて結論は出せないが、チリワインを飲んでみれば笑顔がこぼれ、自然な形で取り組んでいることは想像がつき、決して修行僧のようなストイックなワインではない、あるがままなワインであることに気付く。

その2「クールクライメイト」
一時期大注目されブームにもなったキーワードだ。超簡単に言い切ってしまうと、「クールクライメイト」は「冷涼な地域で生み出されるワインは濃厚でエレガントなスタイル」になるということだ。実はチリは沿岸部に近づくほど「クールクライメイト」の傾向が強くなる。チリの海側(太平洋)は寒流、南部のパタゴニアは氷の土地。そこを通るフンボルト海流は冷気をチリの大地へ運ぶ。沿岸部の小高い沿岸山脈からは冷涼な空気が流れ、アンデス山脈内陸に吹く風も冷涼な風を運び、日中は30度を超える太陽の陽があたり、じっくりとブドウを育てるというエレガントなワインが育つ環境が備わっているのである。

その3「セパージュ」
フェルナンド・ディアズさんに、チリのプレミアムワインがなぜ世界的に関心を集めているのか素朴な疑問を投げかけてみたところ。
「チリのプレミアムワインに対する世界的な関心は、いくつかの要因に起因している。第一に、チリのユニークな地理的特徴、多様な微気候とテロワールが、幅広い品種のブドウ栽培を可能にしている。その結果、卓越した品質、独特な風味、土地感を示すワインが生まれる。さらに、チリのワイン生産者たちは、伝統的な手法を尊重しながらも近代的なワイン醸造技術を取り入れ、革新と伝統のバランスをうまくとっている」と答えてくれた。
チリのワイナリーの多くの畑は斜面の向き、標高差、収穫時期など細かくブロック分けされ、多彩なブドウが栽培されているという。先ほど書いたように太陽の陽が存分にあたり、朝夕の冷涼な空気のもとさまざまなブドウの個性が育つわけだ。ピノ・ノワールはフランス的なエレガントさやカリフォルニア的なリッチな果実感など、チリ独自な味わいが生まれ、他にも「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「カベルネ・ソーヴィニヨン」「カルメネール」「シラー」など多彩。また近年では「カリニャン」など新しい品種を育てる挑戦もされている。多彩なブドウ品種によって多彩なワインが造られているのだ。

その4「ツーリズム」

ここまでの解説で、チリワインは「南米のおおらかさは? 生真面目?、ストイック?」というイメージを持たれたかもしれないが、それだけではもちろんない。実はチリワインは飲んで楽しむだけではなく、訪れる場所・ツーリズムにも力を注いでいる。自分たちが造ったワインをより多くのひとに知ってもらいたい、料理とのマリアージュを楽しんでもらいたいなど各ワイナリーの個性を理解してもらう工夫もされている。Wine Of ChileのWebサイトにはワインツーリズムのコンテンツがありワインルートといったオススメもでているのでぜひ閲覧してみては?
https://www.winesofchile.org/

4つのキーワードでチリワインの魅力をお伝えしてみた。どうしてこのキーワードが、いま飲んでほしいプレミアム・チリワインに繋がるのか? 世の中では「アフォーダブル・ラグジュアリー」という言葉が注目されている。ファッションでは「手に届く贅沢品」なんて訳されているけれど、Why not?マガジンはこう考える。「自分のライフスタイルに合ったモノをセレクトする。そこにあるラグジュアリー(贅沢)さは、自分の定める基準に合っていればいいだけのことだ」。どうしてもフランスのワインじゃないと、いや自然派じゃないと、という基準であるならそれでいい。自分にとってのそのワインのストーリー性とバックグラウンドを重視しして、それに共感できるかできないかなのだ。
チリのプレミアムワインはフランスの銘醸地ワインと同等の評価を受け、自然と共生した造りを目指し、それでいて企業努力によって価格は入手しやすいという実にバランスが取れたワインなのである。

お呼ばれしたときに持ち寄る、何か特別な日のワインにセレクトする。なぜ、チリのプレミアムワインをセレクトするのか、それが自分にとっての「アフォーダブル・ラグジュアリー」なワインだからという、ただそれだけのこと。そんな自分の意志も表現できるチリのプレミアムワイン。そんな選択ができる人は素敵じゃないかな?

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山田_yamada 靖_yasushi

Why not?マガジン編集長。長くオールドメディアで編集を担当して得たものをデジタルメディアで形造りたい。座右の銘は「立って半畳、寝て一畳」。猫馬鹿。年一でインドネシア・バリのバカンスはもはやルーティン。

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