アメリカのワインというと圧倒的な存在感はカリフォルニアワインであることに異論を挟む人は誰もいないだろう。ではその次の産地はどこかご存知だろうか?
カリフォルニアに次ぐワイン産地は全米生産量第2位の「ワシントン州」、第3位の「オレゴン州」だ。では、少しだけパシフィック・ノースウェスト(オレゴン州・ワシントン州)について解説しよう。
ワシントン州のお隣は、もうカナダ。「アメリカでも、かなり北のほうだな」とお分かりの通り、カナダの首都・バンクーバーにもシアトルから日帰り旅行できてしまう距離です。
ワシントン州は、フランスとほぼ同じ北緯46度に近い位置にありますが、気候はフランスのどの銘醸地とも大きく違います。北ならきっと涼しいはずとの予想に反し、夏になるとフランスのボルドーより、さらにはカリフォルニアのナパよりも暑くなります。というのも、太平洋沿いのシアトルはとても過ごしやすいエリアである反面、ワシントン州のワイン産地は太平洋からカスケード山脈を越えた内陸部に広がっています。
海からの湿気を含む風は高い山々に遮られ、「夏は暑く、冬は寒い」「昼は暑くても、夜になるとぐんと気温が下がる」という、人にはちょっとツライ気象条件に。でも、この過酷な環境こそ、おいしいワインを造りたい人にとっては喜ばしい条件。糖度と酸度どちらも豊かなブドウが収穫できる結果、凝縮感のある味わいのワシントンワインが生まれるのですから。
ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやリースリング、シャルドネをはじめとするメジャーなものがほぼ揃います。そして気になるのは、やはりお値段。平均的な価格はわりと控えめなのが、大きな魅力でもあるんです。
たとえば、ワインの味わいを評価する「ワインスペクテイター」で100点満点中90点以上を獲得した各国ワインの値段を10年分遡って集計したところ、フランスの平均価格は97ドル、イタリアの場合は70ドル、対してワシントン産はたった48ドルだったとか最高級に認定されたワインも他国の半額で飲めてしまうかもしれないいんですよ。
カリフォルニアワインに隠れてはきたが、その品質、美味しさなど人気もどんどん上昇しているパシフィック・ノースウェストのワイン。レストラン、小売店、オンラインショップが一般消費者に美味しいワインを届けようと開催された「オレゴン・ワシントンワインフェア2023」は全国77の飲食店、酒販店、オンラインショップが参加し、最優秀店舗の表彰レセプションが9月4日東京で開かれた。主宰は「米国ノースウェストワイン協会日本事務所」。
表彰式のプレゼンターを務めた在日米国大使館・農産物貿易事務所(ATO) シニア・マーケティングスペシャリスト青木純夫さんは「フランスはボルドー、ブルゴーニュ、アルザスなどさまざまな産地がそれぞれ切磋琢磨しているけれど、一方でフランスワインというジャンルで多くのワインラバーの心をつかんでいる。我々もカリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ニューヨークと世界に誇れる産地があり、これからはアメリカワインとしての地位も築いていけるように、大使館としてもバックアップしていきたい」と思いを語ってくれたことがとても印象的だった。
みなさんも、産地カルフォルニア、オレゴン、ワシントン、ニューヨークと何が違い自分の好みはどこの産地か理解してみるのも楽しい飲み方ではないだろうか?
受賞店舗は以下
30席未満のレストラン部門
1位 エスポワール
2位 神楽坂 Rouge
3位 コネクション
30席以上のレストラン部門
1位 ロウリーズ・ザ・プライム・リブ・赤坂店
2位 ウルフギャング・ステーキハウス六本木店
3位 ロウリーズ・ザ・プライム・リブ・恵比寿店
小売(実店舗)部門
1位 ワインストア・ワッシーズ
2位 千葉島屋
3位 Kohda House銀座店
小売(オンライン)売上金額 部門
1位 ワインズ東京
2位 鷲谷商店オンラインワッシーズ
3位 京橋ワイン