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Non-alcoholic

高級ボトリング・ティーはワインのように、ワインとともに<ゴッタス玉露&煎茶>

ボトルからワイングラスへとろり注がれる、香り高き黄金色の液体。口に含めば「旨味たっぷりだなぁ」と唸りつつ、料理との相性をついつい考察したくなる—-さて、もうタイトルでネタバレしているけれど、今回はワインでなくティー、お茶の話です。宇治園が開発したボトリング・ティー「ゴッタス」は、フランスの重鎮ソムリエが絶賛する玉露と煎茶の2種類。まるでワインのように使いこなせる日本茶の世界を、ちょっと覗いてみませんか。

ボルドー型ボトル入りの「ゴッタス玉露」(左)と、ブルゴーニュ型ボトル入りの「ゴッタス煎茶」(右)。前者は複雑でどっしり、後者は繊細で舌触りなめらか、と中身のキャラもまたボルドー系&ブルゴーニュ系。

フランスで一目置かれているボトリング・ティー
グザビエ・チュイザという名前、聞いたことがある人はよほどのワイン通だ。彼は5つ星ホテル「クリヨン」のシェフソムリエであり、2022年にはフランスの最優秀ソムリエに輝いたフランス人である。そのチュイザさんが幾度もテイスティングし、3年をかけて味わいを微調整していった日本発のボトリング・ティーが「ゴッタス」。穏やかな渋味の上に旨味が広がり、ハーブやフルーツの香る飲み応え抜群の日本茶となった。
フランスでは2020年ごろから日本茶人気がブームと呼べるほど急速に高まっている。世界中で「抹茶」を使ったドリンクやスイーツが定着した一方、私たちに馴染み深い日本茶全般のたしなみ方も海外に浸透しつつある。
ただ、日本茶をおいしく淹れるにはコツがあり、茶葉のクオリティはもちろん、水質、湯の温度、抽出時間とこだわりポイントはキリがない。そこで、ボトリング・ティーの出番。ガラスボトルを開封した瞬間から、いつでもどこでもベスト・コンディションで淹れられた茶をサーブできる。2015年に販売を開始した「ゴッタス玉露」は、間違いなくフランスの日本茶ブームを牽引してきた原動力のひとつだろう。続いて2022年には「ゴッタス煎茶」が登場し、飲み比べの楽しみも増えた。

お茶には旨味や甘味のもととなるアミノ酸が含まれる。日頃ペットボトル入りのお茶ばかり飲んで「お茶に旨味なんてあった?」と首を捻る方は、とくにアミノ酸が豊富な玉露にトライしてほしい。

食通が見いだす、ゴッタスの新たな魅力

ボトリング・ティー「ゴッタス」は、チュイザさんをはじめ一流ソムリエたちによってフランス料理とのペアリングが試みられている。なら、ほかジャンルの料理はどうだろう? 新たなペアリングのアイデアを求め、フォトグラファーの菊池和男さんにお出まし願った。 菊池さんは撮影仕事のかたわら、世界中を飛び回って食文化の見識を深めてきた人物。食や茶に関する本の出版は多々、さらには料理店のプロデュースまでも手掛ける食通である。
まずはゴッタス2種をテイスティングし、ニュートラルに味わいをジャッジしつつ、

「この旨味たっぷりのお茶は、どちらも香りをきちんと感じたいから、ワイングラスを使ったほうがいいですね。個人的には、ロブマイヤーのような薄い高級グラスがお勧めです。もし日本酒の酒器なら、まず片口に注いでおき、やはり薄いお猪口でいただくのも一興」

と語る菊池さん。
彼はお茶のなかでもとくに中国茶への造詣が深く、自らお茶会を随時主宰するほどだ。

「中国茶は明るい色の緑茶から漆黒の発酵茶まで種類が豊富ですから、一部の中国料理店では料理1品ずつに中国茶を合わせるペアリング・コースが用意されているんです。同じように、日本茶のゴッタスもコース料理との組み合わせで2種を活かしていけるのでは」

さらには、ワインと日本茶の両方を合わせていくペアリングを提案。

「最初にワインで乾杯し、ゴッタス煎茶→ワイン→ゴッタス玉露→ワインと構成していくのもいいでしょう。ゴッタスなら、ワインを飲んだ後に日本茶へ戻っても大丈夫。じつは私が中国茶の会を開いたとき、必ずワインも出してましたので」

最近は低アルコール飲料流行りだから……と低アルコールワインばかり数種用意するのではなく、通常のワインとゴッタスを組み合わせてトータルのアルコール摂取量をセーブする方法は、じつにスマートではないだろうか。ノンアルコールでも濃厚で余韻の長めなゴッタスなら、ワイン・ペアリングの間に挟んでも十分に存在感を主張してくれるだろう。

ボトルデザインは、勝沼醸造のボトルも手掛けた綿貫宏介さんによるもの。欧風ながら郷愁をも感じるエキゾチックな紋様は、和洋中エスニックどんなジャンルの食卓でもすんなり溶け込める魅力がある。

「ゴッタス煎茶」「ゴッタス玉露」の使い分け

「ゴッタス煎茶」を味わった菊池さんは、こう解説する。

「さらっとしたの上から喉へ入っていく感じ。食前なら口をリフレッシュさせて食事に臨んでいけるし、食中でも料理を邪魔しません。生ものと合わせても生臭さを一蹴してくれるので、カルパッチョなど生の魚介類、具沢山のサラダもお勧めです。中国でいえば、潮州や広東あたりの素材感を活かした海鮮料理がシックリくると思います」

いっぽう「ゴッタス玉露」は、その旨味の強さから料理にもパワーを持たせたいという。

「舌横にグッと迫る旨味がありますので、煎茶と同じく魚介料理を選ぶとしても、生よりは火を入れたものを。お茶に負けてしまうサッパリ味の料理は避け、醤油を使った上海料理系、乞食鶏(詰め物をした鶏の丸焼き)、陳皮牛肉(牛肉のオレンジ炒め)といったリッチで濃い味がやはり合うのではないでしょうか。あとは、ところ変わってパエリアもよさそうです」

また、「ゴッタス」2種飲み比べに挑戦してみたい方には別のアプローチもあるという。

「発酵モノで塩気がある一品は、お茶によく馴染みますよ。チーズ全般はもちろん、和食なら『ゴッタス煎茶』にべったら漬け、『ゴッタス玉露』に西京漬けを。西京漬けは魚でも肉でもOKです」

さらにこだわりを持って遊びたい方へは、オリーブオイル比較を同時進行させる手も。

「ちょっといいオリーブオイルを揃えている店では、ナッティでマイルドな熟したタイプ、ピリッとした辛味や苦みを感じる若いタイプ、など色々入手できます。それらを3種類ほど並べ、パンと塩こしょうでシンプルに食べ比べる。かたや飲み物は『ゴッタス』2種、これもまたオリーブオイルと合わせつつ飲み比べる。いかがでしょう?」

“お酒を飲まないからお茶を”ではなく、“お酒を楽しむ方がお茶も”と自然な流れでボトリング・ティーを選ぶ時代。持ち寄りワイン会でも、ワインと一緒にゴッタスを持参すると、参加者が面白がること請け合いだ。

「私の場合、4人で集まったらワイン6本に『ゴッタス』1本、かな。いつもそれくらいワインは飲む(笑)。お茶を入れると、途中で気分を切り替えるいいきっかけにもなります」

酒豪でもある菊池さんゆえ、ボトリング・ティーというチョイスには自信が漲っていた。

菊地和男(きくちかずお)写真家
雑誌、広告等の写真撮影、世界各国の著名人及び芸能人のポートレイトを主として活躍。世界各国をめぐり食と文化をテーマに撮影・執筆。特に香港には造詣が深く、渡航は150回以上、通算滞在日数は1000日を超える。著書に『超級(食)香港』(平凡社)、『中国茶入門』(講談社)、『茶人と巡る台湾の旅』(河出書房新社)。他

ゴッタス玉露 (700ml) 参考価格:6,480円(税込)
ゴッタス煎茶 (700ml) 参考価格:5,400円(税込)
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