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WINE

医師で免疫学の権威アリエル・サビナ氏とサロン・ドゥラモット社長のディディエ・ドゥポン氏によるクリエイション、アルゼンチンのウルトラ・プレミアムワイン「ティアノ&ナレノ」。

「ティアノ&ナレノ」は、アリエル・サビナ氏の二人の祖父、セヴァスティアーノ・アッコーラとナザレーノ・サビナ、いずれもイタリアから移住したブドウ栽培家のニックネームからの命名だ。彼らは10代後半だった1908年にアルゼンチン行きの船に乗り、ブエノス・アイレスに到着。そしてアンデスの麓にあるメンドーサへ辿り着き、標高1,000mの高地でブドウ畑を拓いた。今では上質な赤ワインの産地として知られるルハン・デ・クージョである。

アリエルは医師としてフランスのキュリー研究所にも籍を置き通常はパリで生活しているが、2005年から故郷でのワイン造りプロジェクトを開始した。ようやく納得する品質のワインを造ることができたのが2010年のこと。それ以来、素晴らしい品質のブドウが得られた年にだけ、1銘柄だけ、約5,000本のみの少量生産という方針を変えていない。

主体となるのは平均樹齢90年で100年以上のものも含まれる古木のマルベック。当初はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロを少量ブレンドしていたが、今ではカベルネ・フランが補助品種。いずれも平均樹齢65年の古木である。毎年ブレンドはこのプロジェクトのパートナーである旧知のディディエ・ドゥポン氏とともにテイスティングをして決めており、カベルネ・フランはとりわけフレッシュさを与えてくれる品種だという。

「1990年までは、アルゼンチンワインの最大の輸出国がアメリカ合衆国だったこともあり、アルゼンチンの赤は重たいワインでした。しかし、私たちが求めているのはエレガンス。前回来日した際、複数のソムリエの方たちから『ブルゴーニュのようにエレガント』とのコメントもいただき、とても嬉しかった」と、アリエル。

生産量が少ないため、自らが置いてもらいたいと思うお店を中心に取り扱いを依頼しているという。そして、シャンパーニュ・サロンとともに今やJALファーストクラスのワインリストにも搭載されている(これまでは3路線だけだったのが、2025年から全路線へ)。

また、アリエルは数年前にニューヨークで15名のソムリエにブラインド・テイスティングを行ったという。そこで供された5銘柄のワインは、「シャトー・ムートン・ロッチルド」、「シャトー・コスデストゥルネル」、「ドミナス」、「オーパスワン」、そして「ティアノ&ナレノ」。いずれも2010年。しかし、誰もこの中にアルゼンチンワインが入っていると指摘できなかったという。さらに、最も気に入ったワインに「ティアノ&ナレノ」を選んだソムリエが多くいたそうだ。

医師で免疫学の権威アリエル・サビナ氏(左)とサロン・ドゥラモット社長のディディエ・ドゥポン氏(右)。

ティアノ&ナレノ2015年と2017年を試飲した。

2015年はマルベック70%、カベルネ・フラン30%。2017年はマルベック65%、カベルネ・フラン35%のブレンド。熟成に使用する樽は全て旧樽と決めている。

2015年は暑かったヴィンテージのため、スパイシーさが強めで黒果実が香り、味わいにおいてもストラクチャーがしっかりとして堅牢な印象。一方で2017年はよりエレガントで、整然とした香りには、スパイス、赤い果実と黒い果実が感じられ、シルキーなテクスチャーがとても心地良くタンニンも溶け込んでいる。上品そのものだ。

アルゼンチンのカベルネ・フラン100%の赤ワインも近年注目されている。リリースはまだ数年先のようだが、どうやらティアノ&ナレノで100%カベルネ・フランを造ったヴィンテージがあるらしい。大変興味深くリリースが待ち遠しい。(photos by I. Yamamoto / text by Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

アリエル・サビナ氏が、多くの日本のワイン関係者とともにサロン・ドゥラモット社長ディディエ・ドゥポン氏の還暦を祝った会の様子はこちら。

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