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麻布十番にオープンした「Tokyo Confidential」の登場は日本のバー・カルチャーをさらに刺激する

日本のバー・カルチャーは、自分がオフィシャルから解放されプライベートに戻る時間や空間において醸成されてきたように思う。それは例えばジャズ喫茶のようなもの。一人静かにいつも(定番)のお酒と、音楽、時にはシガーを薫らし「しっとり・しっぽり」過ごす至極の時というイメージ。バーテンダーはゲストと一定の距離を置き、「艶」を中心にした静寂の世界が広がる……。もちろん、これはこれでいい。そんな日本のバー・カルチャーに、最近では「開放感」や「サプライズ」というキーワードが浸透し始めているように思う。それを確信させるような新たなバーが麻布十番にオープンした。店名を「Tokyo Confidential」という。

「Tokyo Confidential」が醸す世界は誰もがくつろげる空間であり、異なるバックグラウンドを持つ人々が交流できるリビングルームの延長線的な場所。バーから見えるのは東京タワーの絶景というロケーション。店内は建築家であり美術家の佐野文彦さんが設計した、居心地のよいジャパニーズモダンなインテリアでまとめられている。特にバーカウンターは、樹齢300年の松材を再利用して作られている。そのカウンターの存在感がゲストとバーテンダーとの距離を縮めてくれており、また静謐な鮨店にて一枚の白木カウンターを挟んで店主と向き合ったような、ある種のフラットな関係を築くための工夫が凝らされている。 先に、バーはオフィシャルからプライベートへの切り替えの場と書いたけれど、日本のバー・カルチャーはそこには他者は存在しない空間というイメージが強い。しかし、ここはあらゆる⽂化や国籍のゲストを歓迎し、⼀⼈でも友⼈と訪れても、開放的な雰囲気と⼼温まるホスピタリティで、新しい出会いやコミュニティを形成できる空間となること、またオフィシャルのプレッシャーから解放され、⾃分らしく気取らずに⾼揚感を味わえる場所としてゲストを迎えいれようとお店は企てているわけだ。

プロデューサーのホリー・グラハムさん(左)とヘッドバーテンダーの村田和香菜さん(右)

そこで重要になるのは、お酒のメーキングである。そのおもてなしはプロデューサーのホリー・グラハムさんとヘッドバーテンダーの村田和香菜さんが担う。グラハムさんは、「Bar World 100 Most infuluential(バー業界でもっとも影響力がある人物100人)」において2023年で9位に名を連ねている。美味しいドリンクはもちろん、素晴らしいホスピタリティと「何でもあり」のメンタリティを同時に提供する、才能あるバーテンダーなのである。日本人のバーテンダーにはいなかなかいないタイプだと思う。そしてもう一人の村田和香菜さんは、シンガポールの「Alchemist Beer Lab」のバー・マネージャーとして研鑽を積み「Diageo World Class」などの世界的なコンテストで認められ、2020年に「ザ・トーキョー エディション虎ノ門」のオープニングチームに抜擢され日本へ帰国。同ホテル「ゴールドバー」のカクテルメニュー開発をリードし、オープンからわずか1年後の2023年に、同バーが「Asia’s Best 50 Bars」の56位に選ばれるきっかけを作っている。グラハムさんと村田さん2人が織りなすカクテルはどんな「サプライズ」を見せてくれるか! 味わってみるべきだろう。
そして日本のバー・カルチャーに今後どんな刺激を与えてくれるのか!
まぁ、ゲストはそこまで大袈裟に構える必要はもちろんない。
バーは常に「艶」な空間でなければならないし、「癒やし」を与えてくれる時間が流れていないとならない。「Tokyo Confidential」は新しいアプローチで、私たちの隠れ家になってくれることだろう。

「Tokyo Confidential」(トーキョー・コンフィデンシャル)
住 所/東京都港区⿇布⼗番1丁⽬6番1号
営業時間/⽔曜~⽇曜18:00~翌2:00(⽉・⽕曜定休)

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山田_yamada 靖_yasushi

Why not?マガジン編集長。長くオールドメディアで編集を担当して得たものをデジタルメディアで形造りたい。座右の銘は「立って半畳、寝て一畳」。猫馬鹿。年一でインドネシア・バリのバカンスはもはやルーティン。

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