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WINE

ブルゴーニュ・ワイン生産者、砂町銀座商店街に行く!~ぶらり総菜屋めぐり~

ブルゴーニュ・ワイン生産者が確信、
「うちのワインに合う惣菜はコレ!」

商店街で買い求めた大量の総菜を担いだ3人は、いざペアリングが実証できるスポットへ移動。築80年以上の古民家に腰を据えて、ひたすら試食→試飲→試食→試飲→試食→試飲……そしてようやく、各自がこれぞと確信する完璧なペアリングが完成しました!

プティ・シャブリ 2022ドメーヌ・ド・ショード・エキュエル

シャブリはワイン法で4つのアペラシオンに分かれており、一番カジュアルなのがこのプティ・シャブリ。アペリティフから前菜へと繋ぐにはもってこいの白ワインだ。「ブルゴーニュではグジェール(チーズ入りシュー)やエスカルゴと合わせるのが定番です」(マリアンヌさん)
品種:シャルドネ100%

BEST of総菜ペアリング:ひじき煮

「塩気と旨味の効いた一品に軽快なプティ・シャブリを合わせるのは、ペアリングとしてはクラシックなスタイルなんです。日本のいろいろな総菜で高いレベルのペアリングが完成していくなか、私がベストに選んだのは、ひじき煮。海産物ならではの潮っぽさがあり、そこがシャブリのフレッシュ感とよく馴染みました」(マリアンヌさん)

こちらもお気に入り!

「私は海苔が大好きで、まぐろたくあん巻もプティ・シャブリに似合うと感じました。出汁巻はシャブリ全般イケるものの、強いて選ぶならプティ・シャブリかと。また、いなごの佃煮も美味でしたよ。日の当たるテラスで、いなごをツマミにプティ・シャブリでアペリティフ時間を過ごしたい🧡」(マリアンヌさん)

シャブリ キュヴェ・クロヴィス 2019ドメーヌ・ド・ショード・エキュエル

60歳のヴィエイユ・ヴィーニュ(古樹)がすくすくと育つクロヴィス畑のブドウのみを使った、年に約2000本しか造られない限定品。「樽で熟成させ、まろやかな味に仕上げています。普段は鶏肉料理やチーズと合わせることが多いですね」(マリアンヌさん)。
品種:シャルドネ100%

BEST of総菜ペアリング:おにぎり(鮭)


「皆さんもご存じ『魚介類とシャブリは相性抜群』というのが、ペアリングの基本。鮭はフランスでも馴染みのある魚ですね。鮭のおにぎりは、前述のプティ・シャブリと合わせようか迷いつつ、味わいのパワーバランスを考慮した結果、こちらのシャブリをベストとしました」(マリアンヌさん)

こちらもお気に入り!


「樹齢の古い樹から収穫されたブドウは凝縮感があります。なので、強い味わいのうなぎ、焦がし醤油でリッチな味わいになったほたて醤油焼は、プティ・シャブリよりこちらのシャブリ向き。おでんのなかで大根をピックアップしたのは、根菜ならではの苦みがアクセントになっていたから」(マリアンヌさん)

マリアンヌ・ヴィランさん(ドメーヌ・ド・ショード・エキュエル/シャブリ)

ブルゴーニュ コート・ドール レ・シャポニエール 2022ドメーヌ・デ・ボーモン

ブルゴーニュのコート・ドール地区に限定されるAOCで、北にコート・ド・ニュイ、南にコート・ド・ボーヌの銘醸地を内包。
「丘の麓のブドウを用いた入門者向きワインと捉えられがちなAOCながら、こちらはモレ・サン・ドニの隣にある区画『レ・シャポニエール』のブドウのみ使用した限定品」(タンギさん)。分かる人には分かる
お買い得ワインだ。
品種:ピノ・ノワール100%

BEST of総菜ペアリング:おでん(しらたき)

「今回は、日本独特の表現『旨味』というものに注目してみました。おでんは味付けが軽めでも、『旨味』がきちんと含まれているものなのですね。おでん全般にブルゴーニュの赤ワイン全般がシックリ馴染むと感じつつ、とくにブルゴーニュ コート・ドールとしらたきのペアリングに感動!……え、『しらたきそのものには味がない』って?なら、おでんのつゆの旨味と、しらたきの食感との相乗効果ですね」(タンギさん)

モレ・サン・ドニ 2022ドメーヌ・デ・ボーモン

グラン・クリュやプルミエ・クリュに格付けされた畑が所せましと並ぶモレ・サン・ドニ村。当然、ブルゴーニュでは高級なほうのワイン産地だけれど、「うちみたいな小規模生産者のワインは値上がり率が抑えめ。私はいつも、仔牛料理(ブルゴーニュではカジュアル)に合わせてます」(タンギさん)
品種:ピノ・ノワール100%

「前述のワインとこちらのモレ・サン・ドニは、地理的にさほど距離もなく、共通点はいくつもあります。モレ・サン・ドニのほうが旨味の強い総菜と合わせやすいのですが、それでも繊細なキャラクターのワインですから、長時間の火入れで軽やかな舌触りになった焼豚こそがピッタリ」(タンギさん)

こちらもお気に入り!

うなぎの肝焼き

「うなぎ蒲焼よりも脂は少なく苦みが加わる肝焼のほうが、甘めのタレを控えめに感じさせてくれて、モレ・サン・ドニにピッタリ。肉や魚といった食材だけで判断するのでなく、『アッサリと味付けした豚肉』『うなぎなら肝』など、調理方法や部位でペアリングは変えていきたいものです」(タンギさん)

タンギ・ボーモンさん(ドメーヌ・デ・ボーモン/モレ・サン・ドニ)

ブルゴーニュ・アリゴテ 2022ドメーヌ・シャペル・エ・フィス

ここ10年でイメージをガラリと変えてきたアリゴテ種のワイン。もともとブルゴーニュ人にとって愛着のある地場品種であり、手間暇をかけて収量を抑えることで品質が急上昇中。アペリティフに最適な早飲みタイプが多く、「普段は仕事上がりに、『まずはコレ一杯』とついワイン単体で飲んじゃう」(シモンさん)
品種:アリゴテ100%

BEST of総菜ペアリング:カニクリームコロッケ

「アリゴテに合う総菜、想像していたよりたくさん見つかりました。決定的だったのはコロッケ、フランス流の呼び名は『クロケット』ですね。表面はカリカリ、中身はコックリな食感が心地よいし、やはりカニのような魚介系の旨味にはアリゴテがストレートに合います」(シモンさん)」


こちらもお気に入り!

おにぎり(おかか)
「燻製香のある鰹節は、まるでスモークした魚を食べているよう。ステンレスタンク醸造で真っすぐなスタイルのブルゴーニュ・アリゴテと合わせると、よりおにぎりの複雑さが際立っていきますよ。ただ、海苔自体は旨味が強すぎる気がしたので、個人的には海苔ナシのおにぎりがいいかも」(シモンさん)

サントネイ プルミエ・クリュ ラ・コム 2020ドメーヌ・シャペル・エ・フィス

赤ワインも白ワインも産出するサントネイ村。
この地で最高クラスに位置するプルミエ・クリュ
「ラ・コム」畑(クリマ)の赤は、「太陽の恵みを受けた2020年産でも、きちんとフレッシュ感と果実味を両立。総菜と合わせることで、さらに特別な感覚が
沸き上がるワインです」(シモンさん)
品種:ピノ・ノワール100%

BEST of 総菜ペアリング:うなぎ たれ串

「今回は『白ワイン向きかな』と想像していた総菜のなかにも、意外と赤ワインと合わせられるものが多かったです。とはいえ、やはり味わいの濃度から判断してピンと来たのは、焼豚とうなぎでした。うーん、ひとつだけ選ぶとするなら、ほんのり甘めのタレが絡みつつ上品なうなぎにします!」(シモンさん)

これもお気に入り!

「おでんのなかで、とくに厚揚げと大根は赤ワイン向きだと感じました。また、日本では梅干しとピノ・ノワールが合うとの話を聞き、梅干しのおにぎりにトライしたら、たしかにプラムっぽさでワインとリンクします。サントネイなら、梅のおにぎり&焼豚という合わせ技もオススメですよ」(シモンさん)

シモン・シャペルさん(ドメーヌ・シャペル・エ・フィス/サントネイ)

「白米だって、しらたきだって、ワインに合うのです」

シモン「今回は、見た目でピンとくる総菜だけ買ってきましたけど、本当はもっと砂町銀座をゆっくり練り歩いて、すべての総菜を買い占めたかった。ブルゴーニュ・ワインとのペアリングを片端から試していけたらなぁ」
タンギ「えっ? ブルゴーニュこそ産地も造り手もヴァリエーションが広いから、総菜ひとつひとつに対してブルゴーニュ・ワインを延々と語り続けるってことですか?」
マリアンヌ「まあ、どんな総菜であっても、ブルゴーニュ・ワインのどれかでペアリングを完成させる自信はあります」
タンギ「これだけの総菜ペアリングを終えて、『日本って魚をよく食べて、醤油もよく使うな』と感心しました。一方、焼豚とブルゴーニュ赤とのペアリングは最強だと信じています。ブッフ・ブルギニヨン(牛肉の赤ワイン煮込み)くらいは作れる僕なので、帰国してから和食の料理も頑張っちゃおうかな」
マリアンヌ「私も東京で和食のレシピ本を買ってから帰国するつもり。あと、日本人には意外かもしれないんですけど……白米でも、味がついたり具が入ったりしたらブルゴーニュ・ワインに合わせやすかったです」
タンギ「ああ、『おむすびは白米メインだから』『ひじきは海藻ですし』『しらたきはさすがにムリでしょ』などの先入観がなかった分、ニュートラルな気持ちで総菜とブルゴーニュ・ワインとのペアリングにトライして気づけたことですよね。さて次は、日本の皆さんにブルゴーニュへ来てもらい、ブルゴーニュ郷土料理とのペアリングも堪能していただく回になるでしょうか」
シモン、マリアンヌ「日本の皆さん、ブルゴーニュでお待ちしてますね!」


取材協力:
ブルゴーニュワイン委員会
https://www.bourgogne-wines.jp/
砂町銀座商店街
https://sunamachi-ginza.com/

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  • 記事を書いたライター
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山本ジョー

ライター。2000年よりワインや食にまつわるテキスト制作を請け負ってきたが、ときおりタレント本や鉄道本にも携わる。 畑で細々と野菜を作り、猟師から獲物を分けてもらうカントリーライフを堪能中。 好きなものは旅、犬、カジュアル着物。 小型船舶免許1級を取得して以来、船の操縦経験ゼロ歴を更新し続ける「なんちゃって船長」でもある。

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