文/山田 靖
ワイングラスにはブルゴーニュ型、ボルドー型のグラスがあることはご存知の方も多いだろう。加えて今ではシャルドネグラス、ピノ・ノワールグラス、カベルネグラス……と多岐にわたってきている。とはいえ、「グラスの構造によってワインの香りや味は違うのか?」という根源的な疑問もある。まずこの疑問への答えは明快だ。「ワイン品種特性はグラスの形状によって口中での酸味、タンニン、まろやかさの違い、香りの感じ方の違いはある」だ。
しかしレストランならまだしも一般の家庭ならば、そんなに多岐にわたるグラスを用意するなんて現実的ではない。また、ワイングラスは洗浄時に割ったり、特にステム(グラスを持つときの細い軸)を折ってしまうという危うさもある。しかし今から20年前、そんな弱点が軽減された画期的な商品が誕生した「ジ・オー・ワインタンブラー シリーズ」だ。そして20周年を記念して新たな商品が発売されたこのタンブラーは、プレゼントにも喜ばれるだろうし、自家用に購入しても楽しめるので紹介したい。
11代目当主マキシミリアン・リーデル氏
11月某日、オーストラリアのグラスブランド「リーデル」の11代目当主マキシミリアン・リーデルが来日し、2004年に誕生した「ジ・オー・ワインタンブラー シリーズ」、その20周年を記念して2024年5月に発売された「キー・トゥーワイン レッドワイン セット」を使ったマキシミリアン氏によるセミナーが開催された。
彼はリーデルのCEOでありながら、優れたグラスデザイナーとしても知られている。そのクリエイティブな才能が造り出したのが、ブドウ品種によってグラスの形状を科学し設計した「ジ・オー・ワインタンブラー シリーズ」だ。
このシリーズの大きな特徴は、ステムのないワインタンブラー。今では他のグラスブランドにも似たような商品があるがリーデルが本家なのだ。マキシミリアン氏自身もそのセミナーで「リーデルは世界で最も成功したグラスブランドです。その指標には販売個数を上げることはできますが、もう一つ誇ることが出来るのは、他社がどれだけリーデルのグラスをコピーしたかもあります。答えはリーデルのグラスはほぼ全他ブランドがコピーしてくれました(笑)」とのコメントで場を盛り上げていた。
ステムのないグラス……この発想を前々当主(マキシミリアン氏のお祖父様)に伝えると一言で否定され、先代当主(マキシミリアン氏のお父上)は「これは最高だ」と商品化になったとのこと。
ワイングラスを洗う際、割らないための最優先事項は「ワインを飲んで酔った状態で絶対洗うな」だそう。でも、このステムレスならばその危険性はかなり低くなる。実は個人的には「ステムのないグラスなんて、なんか気の抜けたコーラみたい」と、どちらかというと興味を感じなかった時期があったが、一度ちゃんと使ってみると評価は180度変わった。品種ごとに開発されたボウル部分の形状、ステムレスによる使い勝手は安定感があり、場所を選ばず、そのボウル形状ゆえに雰囲気もこわさない。
セミナーに参加していた某有名ワインジャーナリストは「私はお家でテイスティングするとき、個人で楽しむとき、全てこのステムレスよ。ワインの味が明快にわかって、とにかく使い勝手が楽!」と話していた。確かに納得だ。
今回発売された「キー・トゥーワイン レッドワイン セット」は代表的なぶどう3品種を飲むために最適な設計になっている。ぶどうの果皮の厚さによって風味、タンニン、特徴に対して大きな影響を与えることから、果皮の厚さの違いによって形状を変えているのが最大の特徴のワインタンブラーなのだ。具体的には果皮の薄いぶどう(ピノ・ノワール)、中程度のぶどう(シラー)、厚いぶどう(カベルネ/メルロー)の違いを示す3種がワンセット。
またグラスの底にはぶどう品種が刻印されているので、どれが何向きのグラスなのか混乱することもなく、その気配りはありがたい。自家用に揃えておきたいし、プレゼントしたらとても喜ばれそうなシリーズが誕生した。プレゼント商品リストにぜひ加えて、格上ワイン生活を楽しもう。
左からピノ・ノワール、シラー、カベルネ/メルロー用の3種ワンセット。
マキシミリアン氏のセミナーと同じ体験はここをタップ(外部サイト)
「キー・トゥーワイン レッドワイン セット」はここをタップ(外部サイト)
<ジ・オー・ワインタンブラー シリーズ> キー・トゥー・ワイン レッドワイン セット(各1個計3個入)
定価/6,500円(税別)