ワインにとって「古酒」というジャンルはとりわけ魅力に満ちた世界。また、ワインを飲み尽くした愛飲家だけではなく、ワインショップでは若い年代のワインラバーも興味を持つ人たちが増えてきていると聞きます。古酒関連の書籍の著書もある「秋津壽男」さんのが抜栓したワインは「Chateau Pichon Longueville Baron PAUILLAC 1953」
「超醗酵」
「Chateau Pichon Longueville Baron PAUILLAC 1953」
今回はピションラランドと並ぶポイヤックの雄、ピションバロンである。ヴィンテージは1953年、55.59と並ぶ1950年代のビッグヴィンテージだ。エチケットがいつもと違うことに気づかれただろうか?これはシャトー詰めではなく、A & R. Barrie というネゴシアン(ワイン商)詰めのボトルである。この頃まではピションバロンのような大手シャトーでも、樽売りをしていたのだ。
しかも今回はハーフサイズボトルである。通常瓶の二倍の容量のマグナムボトルは、長命で熟成変化もゆっくりであり2倍長持ちするといわれている。ということは ハーフボトルは2倍速く熟成劣化することになる。1953年だから71年前のワイン、2倍の熟成と考えれば142年分年を取っていることになるのだ。
持ち込んだのは銀座のカウンター和食、裏路地の隠れ家である。ハーフボトルは瓶口が細い分、コルクも細く抜栓が心配だ。真ん中で折れてしまったが、ボロボロにならずに綺麗に抜けてくれた。色調はまた赤みの残る深い紫で、プルーンコンポート、ジンジャー、シガーなどが香る。一口目から驚くほど若くつややかで、140年、いや71年前のワインとは思えない。2杯目も全然へこたれずにさらに香りが開いてくる。お遊びで特製の減塩フナズシに合わせてみたら、意外や意外素敵なマリアージュを見せてくれた。超醗酵つながりかもね。