文/山田 靖
イタリアの銘醸地ボルゲリより、「オルネッライア」の収穫情報が届きました。ちなみにボルゲリは、フィレンツェから車で約2時間、山と海に囲まれたトスカーナ州の地中海沿いの小さな村。地中海性の温暖な気候が特徴。夏場の乾燥した空気、日中の豊富な日照量、海から吹く涼しい風がブドウの酸度を保つため、凝縮感と骨格が調和したワインが造られると言われている。
2024年の赤ワイン用の黒ブドウは9月2日に摘んだとのこと。成熟し、健全な房だけを選び、細心の注意を払いながら15キロの小型ケースに入れ、1時間以内に醸造施設に運びこみ、選果台で二度目の選果を実施し、オルネッライアのワイン造り第二段階にはいる。
生産管理マネージャーのマルコ・バルシメッリはハーヴェストレポートでは次のように述べている。
「収穫はいつも心が躍りますが、ブドウにとって極めて重要な期間です。2024年ヴィンテージは、非常に良い年であり、試練の年でもありました。3月から6月にかけて、たくさんの雨に恵まれ、畑は十分な水分を溜めることができました。そして例年通り、全ての区画で細かい手入れを継続しました。6月、夏の便りがボルゲリの届く、そこからの2ヶ月間、日照と乾燥した天候が続き、ブドウに最適の条件が揃い、素晴らしいヴィンテージの基礎を作りました。特に、7月中旬から8月上旬にかけて、20日間猛暑が続きました。この軽度のウォーターストレスにより、成長が止まり、ブドウの実が熟し始めるのが確認され、糖分、アロマ、そしてポリフェノールが凝縮していきました。イタリアの三大祝日、8月15日は聖母マリアが天に昇った日(フェッラゴスト)には10~20ミリの雨が降り、ブドウが一息つき、絶妙のタイミングでの雨となり、ブドウは再び熟し始め、オルネッライアらしいブドウに仕上がりました」
また、オルネッライアを所有するフレスコバルディ社のランベルト・フレスコバルディ社長は、「2024年のブドウの出来に非常に満足しています。収穫したブドウはとても成熟しています。黒ブドウとは別に、8月12日から30日に収穫したソーヴィニヨン・ブランは、すでにセラーで発酵中です。その他の白ブドウと黒ブドウは、順調に収穫を進めています。毎年1ヘクタールあたり700時間以上もの人手を投入し、細心の注意を注いで細かく畑に手を入れることで、オルネッライアの特徴的なテロワールを表現し、ヴィンテージと完璧にシンクロしたブドウができるのです」とコメントしている。収穫は10月上旬まで続き、カベルネ・ソーヴィニヨンの最後の房を摘み取って、収穫が完了する予定だ。
ちなみに「オルネッライア」はフラグシップ的ワインは赤のオルネッライアDOCボルゲリ・スペリオーレと、白のオルネッライア・ビアンコ。セカンド・ラベルとして、赤のレ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライアと、レ・ヴォルテ・デル・オルネッライア、白のポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライアを造っている。土壌や地形が複雑に入り組んだ畑、および、地中海性の微気候に適したブドウを栽培し、世界の銘醸ワインのなかでも高評価を受けているワインだ。さて2024年に収穫されたブドウがどのようなワインにができあがるのか楽しみだ。