文/山田 靖 料理レシピ/河井あゆみ
フランスではラグビーとワインは文化である
ラグビー世界一を決定する世界大会は、前回は2019年に日本で開催された。そこからまた4年遡ること2015年イングランド・ブライトンでの大会で、日本は過去2度の優勝を誇る世界ランキング3位の南アフリカを34-32で破る大金星を挙げた。その後、南アフリカのスター選手は日本のチームに続々と所属してくれて、日本のラグビー人気と実力の底上げに貢献してくれている。2019年の日本開催大会では、日本はその南アフリカと準々決勝で対戦したものの残念ながら敗退してしまったが、この試合において南アフリカがベストの布陣で日本に敬意を持って臨んでくれたことが素晴らしかった。結局優勝国はイングランドをダブルスコアで下したその南アフリカで、ニュージーランドとならぶ3度目の栄冠に輝き、日本と友情を深めている南アフリカの優勝という結末に盛り上がりだった。
そして、2023年の今大会開催地はフランスである。フランスは「サッカーが人気」と思われている方もいるかもしれないが、ラグビーも国民的なスポーツ。特にフランスの南の方では、スポーツといえばサッカーよりもみな幼いときからラグビーに親しんでいるのだ。実際南フランスの人は「ラグビーとワインは南フランスでは文化そのもの」と言い切っている。ちなみにフランスのラグビーは「フレンチフレア」とか「シャンパン・ラグビー」と呼ばれ、その意図するところは、まるでシャンパンの泡のように選手がスペースに湧きだしパスがつながるという、フランスのプレースタイルを称賛する言葉だ。実は前大会くらいからこのスタイルを踏襲しているのは日本とも言われている。またラグビー通の方ならご存知かと思うが、フランスの元トッププレーヤーのジェラール・ベルトランさんはラングドック(オクシタニーは試合ももちろん開催される)の一大ワイナリーのオーナーでもある。試合会場は「パリ、ボルドー、トゥールーズ、リオン」など10都市で予定されている。「ボルドー」「トゥールーズ」「リオン」とくれば、ワインの銘醸地である。こういったストーリーを知ると、今大会の観戦のお供はフランスに敬意を表して「ワイン」を楽しみたいではありませんか! 日本でのTV観戦は、涼しい室内でビールは一休みしてワイン片手に盛り上がろう!というワケ。
では、ワインは何をチョイスしよう? もちろん、ワインも日本産と対戦国ワインで盛り上がるというのも妙手ではあるが、今回は開催国フランスと前回優勝国南アフリカに敬意を表して、盛り上がるワインをWhy not?マガジンが勝手にオススメしようというわけです。
セレクトのポイントは、堅苦しくならないワインで全国津々浦々のコンビニやスーパーで比較的入手しやすい、そしてフードフレンドリーで美味しいワイン! ココをポイントにした。
今回セレクトしたワインは3種類。フランスの「キュヴェ・ミティーク」「ロシュ・マゼ」。そして南アフリカの「KWV」である。フランスと南アフリカを選んだワケは、ラグビーを通して深い繋がりがあるというポイントである。提案はワインだけでは終わらない。TV観戦はやっぱりなにかつまみながら「やいの、やいの」と盛り上がりたい。なので、このワインに合わせた簡単だけど美味しくワンランク格上げになるフードもソムリエでもある料理研究家・料理教室ARNO主宰河井あゆみさんにベストマッチする特別レシピも提案していただいた。日本初戦は9月10日20時にチリとの闘い。さあ、観戦の準備はこれで完璧だ!
「キュヴェ・ミティーク」with「ソーセージと白いんげん豆のカスレ風グラタン」
南フランスのラングドック地方で生まれたキュヴェ・ミティーク。グルナッシュやシラーなど南仏らしいぶどうを使った赤ワインなので、ラングドックの伝統的な料理であるカスレ風のソーセージグラタンをご提案します。南仏の太陽と大地の力強さを感じるキュヴェ・ミティークと、トマトとソーセージの旨味を白いんげん豆にたっぷり吸わせたグラタンのペアリングをお楽しみください。(コメント:河井あゆみ)
材料(2人分)
ソーセージ 約120g、
いんげん豆水煮 200g、
トマトソース 200g、
にんにく 1片、玉ねぎ 40g、
セロリ 10g、マッシュルーム 40g、
オリーブオイル 大さじ1、パプリカパウダー 2振り
塩胡椒 適量、溶けるチーズ 30g
【作り方レシピ】
① にんにく、玉ねぎ、セロリはみじん切り、マッシュルームは4つ割りにしておく。白いんげん豆水煮は水けを切っておく。
② フライパンにオリーブオイルを熱しにんにく、玉ねぎ、セロリ、マッシュルームをしんなりするまで炒める
③ 白いんげん豆とトマトソース、パプリカパウダーを加え、約5分煮る。ソーセージを加えて温まる程度に煮たら耐熱容器にうつし、溶けるチーズを全体に乗せる。
④ オーブンを200度に予熱し、③を約15分表面がぐつぐつするまで焼く(グリルやトースターでも可)。
キュヴェ・ミティーク 2019
フランス/IGPペイ・ドック
品種/シラー32%、マルスラン22%、カリニャン21%、ムールヴェードル16%、グルナッシュ9%
エチケットに描かれているフクロウでお馴染み。ラングドックの本来の味を追及するために、1,500人のワイン生産者の造るワインの中から、その年の完成度の高いワインを厳選し、ブレンドされたワイン。多くのワインから厳選し、ブレンドすることで天候による年ごとの味わいのバラツキを最小限に抑え、安定的に優れた品質のワインを造っている。
オーク樽で6か月~12か月熟成。紫がかった濃い赤色。ブルーベリー、甘草、砕いたコショウ、ハーブが香り、味わいは濃厚で複雑。フレッシュな印象が、余韻に香るモカの風味を昇華させます。
参考価格/2,000円(税別)※(2023年9月1日時点)
「ロシュ・マゼ シャルドネ 2021」with「シュリンプトースト」
ラングドック地方のワイン産地は地中海に面した海側と内陸側に分かれます。飲みやすく手軽な価格で定評のあるラングドックの白ワインならシーフードに合わせたくなりますね。海老にカニカマで旨味が増したシュリンプトーストにレモンを絞って。南仏の景色を思い浮かべながらお召し上がりください。(コメント:河井あゆみ)
材料(2人分)
むき海老 100g、
かにかま 50g、
全卵 1/2個、
バゲットスライス 4枚
白胡椒 少々、
オリーブオイル 大さじ2
レモンくし切り 1個、ディル 適量
【作り方レシピ】
① むき海老とカニカマ、全卵、挽いた白胡椒を包丁で叩くかフードプロセッサーにかけ、粗めのペースト状にする。
② バゲットの片面に①を1/4づつ塗る。
③ フライパンにオリーブオイルを熱し、②の海老の面を下にして約2~3分焼く。海老に火が通ったらひっくり返して反対の面をパリッとするまで焼く。
④ レモンくし切りとディルを添える。
ロシュ・マゼ シャルドネ 2021
フランス/IGPペイ・ドック
品種/シャルドネ100%
ロシュ・マゼはフランスボルドーに本社をおく欧州最大のワイングループの1つであるカステル社が始めたブランド。2020年にはテラ・ヴィティス認証も取得。2021年にはフランス国内で約5,420万本が販売され、フランスで最も売れているブランド。3年連続日本国内売上No.1フランスワインブランド。2021年世界で約6,200万本以上が販売されている。このシャルドネも認証を取得している。洋ナシやフレッシュなアーモンドのアロマが印象的で口に含むと樽香やヴァニラのニュアンスを感じ、非常にまろやかな印象でフードフレンドリーなワイン。
参考価格/1,200円(税別)※(2023年9月1日時点)
「KWV クラシック・コレクション ピノタージュ」with「スパイシーチキンナゲット オリエンタルソース」
様々な人種が移民として集まっている南アフリカ共和国。郷土料理も多種多様です。ピノ・ノワールとサンソーを交配した南アフリカ固有品種のピノタージュは少し甘みのある料理やスパイスのきいた料理に合うと思うので、スパイスを入れたチキンナゲットに甘みのあるマヨネーズソースを合わせました。(コメント:河井あゆみ)
材料(2人分)
鶏胸肉 200g、塩 6g、砂糖 3g、
白胡椒 少々、全卵1/2個、
パプリカパウダー 2振り
カイエンヌペッパー 2振り
片栗粉 大さじ2
B オリエンタルソース
マヨネーズ 30g、
スイートチリソース 10g、
レモン汁 5g
【作り方レシピ】
①鶏胸肉から片栗粉までの材料を全てフードプロセッサーで攪拌する(少し塊が残る程度に)。
②オリーブオイルを熱したフライパンに①を約40gずつスプーンで丸くまとめて落とし、表裏を焼き中まで火を通す。
③ Bの材料を全て混ぜてソースを作る。
④ ②を皿に盛り、③を添える。
KWV クラシック・コレクション ピノタージュ
南アフリカ/西ケープ州
品種/ピノタージュ100%
南アフリカのワインの品質と評価はかなり高く。今後も注目の産地だ。
KWVは南アフリカ産業のリーディングカンパニーとして大きな役割を果たしているワイナリー。2023年「THE WORLD’S MOST ADMIRED WINE BRANDS ~世界で最も賞賛に値するワインブランド38位、アフリカ&中東エリア1位~」に評価されている。
ピノタージュはピノ・ノワールとサンソーとの交配によって生まれた南ア独特のブドウ品種でKWVもこの開発の最大級の支援をしている。深く濃いルビー色、果実の香り豊かで、樽熟成によって複雑な風味が生まれ、コクのある味わい。
参考価格/1,200円(税抜)※(2023年9月1日時点)
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ラグビー観戦オススメワイン
レシピ提案いただいた河井あゆみさん
Why not?マガジン人気連載「ワインに合う簡単レシピ」にも登場いただいている、料理教室ARNOアルノ主宰、料理家 。イタリア料理をベースにした家庭料理のサロン「料理教室ARNOアルノ」を自宅教室と表参道に開講。現在都内2箇所での対面料理教室とオンラインレッスンを開催。 日本ソムリエ協会認定ソムリエ。雑誌・SNS等やELLE gourmetなどに食関係のレシピ・コラム執筆。
番外編_1:勝利を祝うとき「ディヴァル・コテル リミテッドエディション RWC23」でSanté !(乾杯)
「ディヴァル・コテル リミテッドエディション RWC23」
フランス/シャンパーニュ
品種:ムニエ50%、シャルドネ30%、ピノ・ノワール20%
大会会場内のバーやVIPルームでふるまわれる予定のシャンパン「ディヴァル・コテル リミテッドエディション RWC23」。柔らかくフルーティな味わい、フレシュさも魅力でこの厳しい残暑に楽しんでほしい。フードフレンドリーさも高くオススメのシャンパンだ。
シャンパーニュブランドであるディヴァル・コテルの生産者コルディエ社(「キュヴェ・ミティーク」も造っている)はラグビーワールドカップ2023年フランス大会の公式ファインフードサプライヤー。
ラベルに表記されている「28.10.2023」は、この大会の最終日、「2023年10月28日(土)」の決勝戦を表している。シャンパンは勝利やなにか成し遂げたときのお酒。観戦時のお供に、また、ラグビー観戦時の勝利の歓喜はやはりこのシャンパンで!
国内600本限定発売。
参考価格/12,000円(税抜)※(2023年9月1日時点)
「ディヴァル・コテル リミテッドエディション RWC23」を購入はココをタップ
番外編_2:南アフリカの不屈の意志を持つオトコ「ビッグ・ビル」はまさにラグビー観戦のためにもあるワイン2種
ワインの名称である“ビッグ・ビル”は、初代KWVゼネラルマネージャーを務めたウィリアム・アレクサンダー・ミラーの愛称。1883 年、東ケープ州生まれの“ビッグ・ビル”は、若い頃に肩を負傷し、二度と左腕を使えないと言われながらも、不屈の意志でななんとボクシングチャンピオン、競歩のチャンピオンとなり、また南アフリカラグビーチームのキャプテンとしても活躍した伝説のオトコ。その彼への敬意を表して、このワインはオマージュワインとして造られ、愛されている。KWVの醸造所を訪れると“ビッグ・ビル”と名付けられた22,000Lの巨大なオーク樽を見ることができるそう。名前の由来といい、そのストーリーを知ればラグビー観戦用ワインに申し分なしです。
KWV ビッグ・ビル ソーヴィニヨン・ブラン
南アフリカ/西ケープ州
品種/ソーヴィニヨン・ブラン100%
ソーヴィニヨン・ブランのエレガントで爽やかな味わいは滑らかで非常にバランスのとれたワイン。フードとの相性もいいので、あらゆる機会にマッチするワインです。
参考価格/1,100円(税抜)
※(2023年9月1日時点)
KWV ビッグ・ビル カベルネ・ソーヴィニヨン
南アフリカ/西ケープ州
品種/カベルネ・ソーヴィニヨン100%
ボディのしっかりしたカベルネ・ソーヴィニヨンは8~10ヶ月に及ぶ樽熟成に由来する複雑な風味とバランスのとれたタンニンが見事で、長く心地よい余韻◎。
参考価格/1,100円(税抜)
※(2023年9月1日時点)
ラグビー世界大会 日本対戦カード
※日本時間、日本の世界ランキングは14位、NHKにて放送予定
9月10日日曜日/20:00~ 対チリ(世界ランキング22位)
9月18日月曜日/AM4:00~ 対イングランド(世界ランキング6位)
9月30日土曜日/AM4:00~ 対サモア(世界ランキング12位)
10月8日日曜日/20:00~ 対アルゼンチン(世界ランキング7位)