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WINE

サントリーの《ものづくり》へのこだわり、そのものを体現した「登美の丘ワイナリー」ワインのラインナップ

文/山田 靖
日本ワインはいま全国で約500もの大小さまざまな生産者が、世界で認められる「日本のワイン」を目指し切磋琢磨している。そんな生産者のなかでもリードオフマンとしても注目される「登美の丘ワイナリー」のサントリーを今回クローズアップしてみたい。
「登美の丘ワイナリー」のワインラインナップに「SUNTORY FROM FARM ワインのみらい」というシリーズがある。これは「登美の丘ワイナリー」内のセラーとオンラインショップのみの限定発売の商品シリーズだ。サントリーのワインにはすべて『サントリーの《ものづくり》へのこだわり』が明確にあるが、特にこのシリーズにはそれが詰め込まれている。

常務執行役員 ワイン本部長 吉雄敬子さん

以前、あるインタビューで常務執行役員ワイン本部長の吉雄敬子さんが「つくり手の姿が見える、人を感じるようなワインにしたいと思い、皆に『何をつくりたい?』と問いかけた結果生まれたもの一つが“ワインのみらい”シリーズです」。それは言い換えると「自分たちがワクワクするようなワインをつくろう、つくり手がワインの未来を描くチャレンジングなワインを生み出す」ということだ。特にそのシリーズで発売された1本「SUNTORY FROM FARM ワインのみらい 登美の丘ワイナリー シャルドネ 秋風の成熟 2022 副梢栽培ぶどう使用」はその未来を描くチャレンジングなドラマをもったワインなので、ぜひ、皆さんに知っていただきたい。
ワイン名にある「副梢栽培ぶどう使用」とは、登美の丘ワイナリーのこれからのぶどう栽培の重要なキーワードの一つなのだ。


「SUNTORY FROM FARM ワインのみらい 登美の丘ワイナリー シャルドネ
秋風の成熟 2022 副梢栽培ぶどう使用」 
450本限定 登美の丘ワイナリーおよびオンラインショップでのみ販売

登美の丘ワイナリーは前身の「登美農園」から100年という長い年月ぶどうを栽培してきた。そしてこれからの100年も、いやそれ以上の年月もここ山梨でぶどうを栽培し続けて行く。だから100年後を考えて、今に取り組んでいるという。特に可及的な問題は気候変動、温暖化だ。ワインはこの影響をもろに受けることになる。
山梨県は甲府盆地、とくに温暖化による猛暑は毎年厳しい。これがぶどう栽培では特に成熟期から収穫期を迎える時期の夜の温度の上昇が切実な悪影響を及ぼしている。
通常は春先に芽吹いた枝(これを新梢という)が出て、ぶどうが実り夏に成熟、秋に収穫という時間軸になる。前述の通りこれが温暖化の猛暑によって、秋の収穫時に涼しくなるはずの夜間の気温が下がらないためぶどうの着色が悪く、酸も上がらない事態になる。高品質なワインつくりを維持し続けるならば、なんらかの解決策を図らなければ未来はない。そこで、「登美の丘ワイナリー」は山梨大学の岸本先生が考案した副梢栽培にいち早く注目して、山梨大学と産学連携し研究に取り組んだ。2021年、赤ワイン用ぶどうのメルロ500本の芽吹いた新梢の先端を早めに切り、そのあとに芽吹く枝(副梢)から出てくるぶどうを育てるというやり方を施したことで成熟が40日ほど遅らせることができた。ぶどうに大切な日中と夜の寒暖差が解決され、糖度が上がり、色も良くなるという結果をもたらした。
そして今回その副梢栽培でつくられたシャルドネがついに完成し、「SUNTORY FROM FARM ワインのみらい」シリーズの1本として450本限定、登美の丘ワイナリーおよびオンラインショップ限定で発売されることになった。
つくり手の登美の丘ワイナリー栽培技師長大山弘平さんは「消費者の皆さんが登美の丘ワイナリーのワインを飲んだとき、ワインから感じる風景(このテロワール)のひろがりを飲み手に感じてもらえるように、私たちワインをつくるワイナリーのみんなは願って、ワインつくりをしてます」とワインへの想いを語ってくれた。

登美の丘ワイナリー 栽培技師長 大山弘平さん

そう、登美の丘ワイナリーがワクワクしてつくったぶどうがワインとなり、発売される。今度は私たち消費者がワクワクして味わうのだ。ぜひ、皆さんに飲んでほしい1本である。

「SUNTORY FROM FARM ワインのみらい
登美の丘ワイナリー シャルドネ 秋風の成熟 2022 副梢栽培ぶどう使用」
品種/シャルドネ100%

販売サイトはココをタップ(外部サイト)

2022年新ブランド「SUNTORY FROM FARM」の立ち上げに込められた思い

「良いワインはよいぶどうから」というサントリーのワインつくりの理念。「FROM FARM(すべては畑から)」は畑に向き合い、常に高品質で丁寧なワインつくりを目指す、まさにサントリーのアティチュードそのものだ。そこから生まれる「登美の丘ワイナリー」には「登美」という最高峰のキュベシリーズがある。そして、このシリーズについに「登美 甲州」が仲間入りした。こちらにもワイン完成までのドラマがある。
当然「登美の丘ワイナリー」での主要品種は日本固有品種であり、日本の風土に合う「甲州」。この品種を世界基準へと高めていくこと、という悲願の強い思いがある。

「甲州」は他の品種と比べ、糖度が上がりにくいという特徴がある。ぶどうの糖度はワインにボリュームを与える意味で重要ゆえに、世界の白ワインと伍していくためには「いかに凝縮感を高めていくか」が鍵になる。何年という時間をかけた試行錯誤の結果、「甲州」は現在全部で9区画(登美の丘ワイナリーは250haを約50の区画にその適正で分けている)に植えられているが、その中のさらに「登美 甲州」に必要な味わいを生み出す2区画で適した系統を植え、収穫時期への取り組みから、これまでのイメージをはるかに超える「凝縮感」と「糖度も安定的に18度を超え、昨年は21度まで上げることができ」、満足いく「甲州」を育てることに成功した。
ついに2022年、登美の丘ワイナリーの最高峰の甲州「登美 甲州」ファーストヴィンテージがお目見えした。そして、デビュー後いきなり、デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(:DWWA)2024」において、最高位の「Best in Show」を日本から出品されたワインでは史上初受賞という栄冠を勝ち取り、世界的に評価されることになったのだ。このワインコンペティションには18,143点のワインが出品され「Best in Show」は50のワインが、金賞は643点が選ばれた。大山さんは特に嬉しいのは「他の品種とか国とか地域など全部を合わせての 50本に選ばれた、それが甲州だったということがとても意義深い」とも語っていた。
ここに辿り着くに道のりはたやすくはない。さまざまな努力があったことは想像に難くない。土壌の特性を調査研究し「甲州」を育て、一方「登美 赤」つまり、赤ワインの最高峰は長年カベルネ・ソーヴィニヨンが主体だったが、こちらも同様に今この土地で赤ワイン用品種プティ・ヴェルドは登美の丘の個性によって、色濃く、力強い。それでいて上品さのある豊かな味わいが素晴らしいと判明し、ブレンド比率も上がっている。ちなみに2020年ヴィンテージはプティ・ヴェルド54%、カベルネ・ソーヴィニヨン46%。
また、プティ・ヴェルド100%の「SUNTORY FROM FARM 登美の丘 プティ・ヴェルド 2020」も数量限定でオンラインショップで購入出来る。


ワインは農作物、ゆえに自然を守り、サステイナブルでなければならない

世界の飲料メーカーは大きな製造責任も負う。「FROM FARM」=「人と自然と響きあう」ものでなければならない。前述したが気候変動に寄り添うように新たな品種「タナ」「マルスラン」や「アルバリーニョ」の植え付けを開始。大気中のCO2増加抑制のためにこれまでは剪定された枝は焼却し廃棄されていたものを炭化させ土壌に戻すことで土壌のCO2貯留量の増加を実施している。そのほか生物多様性の維持のための巣箱や水飲み場の設置、有機栽培や産業廃材の活用も積極的におこなっている。こうした取り組みは現地に行き、見学ツアーで説明を聞くなど絶対のオススメだ。

炭化剪定枝

百聞は一見にしかず、「登美の丘ワイナリー」へ行こう!

さまざまなツアー企画も用意されている。ぜひ、現地へ足を運んで体感してほしい。先ほどの登美の丘ワイナリー 栽培技師長 大山弘平さんも「ワインをより知っていただくにはワイナリーに実際に来て、この土地の空気を吸って、肌で感じていただくのが一番です。またワインの味も格別なはずです」と語っていた。もしかしたら、大山さんに会えるかもしれないしね。
ワイナリーツアー等詳細は下記をタップ


「登美の丘ワイナリー」の創業は1909年。鉄道参議官の小山新助という男が「ワインつくり」への夢を持ち「登美農園」を設立したことに始まる。この事業は残念ながら経営に行き詰まってしまった。それを事業も夢も受け継いだのが、鳥井信治郎だ。「寿屋山梨農場」を第二の始まりとして「登美の丘ワイナリー」は、さまざまな困難や反対する声にも「やってみなはれ」を号令に100年という時間のなかで、多くの人びとと紡いできたから、今があるのだ。

SUNTORY FROM FARM Online shop 
ここでしか購入できない独自ラインナップ盛りだくさん!

SUNTORY FROM FARM 登美の丘 甲州 2022
品種:甲州100%
 山梨県甲斐市 登美の丘ワイナリー自園産100%
参考価格:5,940円(税込)

販売サイトはココをタップ(外部サイト)

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山田_yamada 靖_yasushi

Why not?マガジン編集長。長くオールドメディアで編集を担当して得たものをデジタルメディアで形造りたい。座右の銘は「立って半畳、寝て一畳」。猫馬鹿。年一でインドネシア・バリのバカンスはもはやルーティン。

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