取材・文/山本ジョー 写真/山本育子 料理・レシピ/河井あゆみ
カリフォルニアの銘酒「ブレッド&バター」とともに♪
3品種別おもてなしクッキング
カリフォルニア発のワイン「ブレッド&バター」は、そのユニークな名前が表す通りスノッブすぎないのが信条。つまり価格は当然カジュアル……なのに味は驚くほどリッチ! わずか10年前に設立された新興ワイナリーながら、あっという間に人気が急上昇したのも納得だ。
今やアメリカを代表する「ブレッド&バター」には、どんな料理を合わせるべき? 迷ったとき参考にしたいのが、ワインに詳しい料理家・河井あゆみのごちそうレシピ。ホームパーティのおもてなしに、自分へのご褒美に、キッチンで腕を振いたくなる料理3品を披露してもらった。
BREAD & BUTTERって?
2013年にカリフォルニアで設立されて以来、急成長を遂げているワイン・メーカー。ナパとソノマにワイナリーを構え、自社畑を持ちつつも近隣のブドウ農家と深く連携、安定した品質をし続ける。2015年には、当時のアメリカ大統領であったオバマ氏が開催した各国の要人をもてなすランチ・ミーティングにおいてBREAD & BUTTERのシャルドネが振る舞われ、話題となった。
ミステリアスなネーミング、その意図は?
「ブレッド」は樽熟成からくる香ばしさ、「バター」は発酵由来のクリーミーな風合いに通じている。さらに「パンとバターのように、ワインは日常生活に欠かせないもの」との理念も伝える。そう、アタマで考えすぎず、リラックスして素直に楽しむのが、ブレッド&バターの大正解!
今回「ブレッド&バター」にピッタリな料理を考案してくれたのは、
本サイトの「ワインに合う簡単レシピ」でも登場いただいている
アメリカ・N.Y.在住経験のある料理家、河井あゆみさん。
「NYに住んでいた頃、アメリカのワインはいろいろ飲んでいました。日本に帰国してからもワインに親しんでいまして、ブレッド&バターではとくにシャルドネに馴染みがあります。さすが、カリフォルニアの風土を感じるスタイルですよね」
彼女が得意とするイタリア料理の技は、健康志向の高い人々が集うNYで修得した。だから、どのレシピもヘルシーで、身体に負担なく毎日食べられる。
ブレッド&バターのトリート・コレクションもまた、気負わずいつでも飲めるワイン・シリーズ。ブドウの良さを引き出したシンプルなワインには、やはり素材の良さを活かすイタリア料理がよく似合う。
「ブレッド&バターは、どの品種のワインも個性やボリュームがありますから、合わせる料理にもごちそう感が欲しくなります。ですので、見た目は華やかで食べ応えもあるレシピを用意しました。とはいえ、私がご紹介するのは家庭料理が基本。作ってみると案外簡単なのもポイントですよ」
<ペアリングその1>
ブレッド&バター シャルドネ × かぼちゃのニョッキ ブルーチーズソース
ブレッド&バター シャルドネ
アメリカンオークとフレンチオークで4~8カ月熟成。トロピカルフルーツが香り、樽由来のバターのようなクリーミーさが特徴的な辛口白。
産地/カリフォルニア
品種/シャルドネ100%
参考小売価格/3,800円
ペアリングのポイント 「シャルドネには樽由来のバターのようなクリーミーさがあり、濃厚なクリーム系の料理がすぐ思い浮かびました。また余韻が長いので、もちっとした食感のニョッキをセレクト。じゃがいもよりかぼちゃのニョッキのほうが、果実味あるワインのボディに合うと思います。白ワインのパワフルさと釣り合うよう、白胡椒でなくあえて黒胡椒を用い、クリームとの対比を持たせています」(河井)
RECIPE
かぼちゃのニョッキ ブルーチーズソース
■材料(2人分) :
かぼちゃ 300g
卵黄 1個
薄力粉 100g
●ソース
ブルーチーズ 40g
生クリーム 150ml
ニョッキのゆで汁 約大さじ2~3
ローズマリーまたはセージの葉 適量
パルミジャーノチーズ(粉)適量
黒胡椒 適量
作り方:
① かぼちゃの皮とワタを取り、約2㎝角に切る。蒸す・茹でる・電子レンジにかけるなどして火を通す。
② ①のかぼちゃを潰し、卵黄を全体に混ぜてなじませてから薄力粉を2~3回に分けて加え、粉けがなくなりやわらかめに生地がまとまるまで混ぜる。かぼちゃの水分量に合わせて粉の量を調整する。
③ ②の生地を絞り袋に入れ(口金約1.5㎝前後)、1%の沸騰した塩湯に絞り入れ3~4㎝のところでナイフで切り落とす。これを生地がなくなるまで続ける。ニョッキが浮き上がってきたら穴あきお玉で取り出し、ざるにあげておく。
④ ソースを作る。フライパンにソースの材料を入れ火にかけ、チーズが溶けて適度にとろみがついたら火を止め③のニョッキを加えて混ぜる。
⑤ うつわに④のニョッキを取り、パルミジャーノチーズと黒胡椒をふる。
<ペアリングその2>
ブレッド&バター ロゼ × 鶏肉のカルトッチョ レモン風味
ブレッド&バター ロゼ
ステンレスタンクによる醸造により、ストロベリーやメロン、ハイビスカスの花が香る。味わいはフレッシュでドライ、溌剌とした印象。 産地/カリフォルニア
品種/バルベーラ、グルナッシュ、マスカット
参考小売価格/3,800円
ペアリングのポイント
「ブレッド&バターのロゼは、果実味やほろ苦さが重なって個性は強いけれど、バランスがとれているので飲みやすい。NYで、テラスやベランダで飲むワインと言えばロゼ。屋外の雰囲気を料理に出したかったので、オーブンを使った包み焼『カルトッチョ』というライブ感ある一品を合わせてみました。さわやかなプチトマトやほろ苦いレモンの皮を加え、ロゼに寄せたレシピです」(河井)
LECIPE
鶏肉のカルトッチョ レモン風味
材料(2人分):
鶏もも肉 1枚(約300g前後)
・塩 :肉重量の1% ・白胡椒:少々
レモンスライス 2枚
じゃがいも 1個
しめじ 約50g
プチトマト 6個
オリーブ 4粒
にんにく 1片
タイムの枝 4本
イタリアンパセリ 3枝
オリーブオイル 小さじ2
塩 2g
下準備:
・鶏もも肉を2等分にして、塩・砂糖・白こしょうをもみ込みレモンスライスを乗せ約10~20分おく。
・じゃがいもは皮を剥き丸ごと茹で6等分にスライス。プチトマトは半割り、しめじはほぐす。にんにくは薄くスライスし、イタリアンパセリはみじん切りにする。
・オーブンペーパー(35㎝×30㎝)2枚とタコ糸適量を用意しておく。
・オーブンを180度に予熱する。
作り方:
① フライパンにオリーブオイル(分量外)を入れ、レモンのスライスを軽く焼き色がつくまで表裏焼き取り出す。強火で鶏肉の皮目に焼き色をつけて焼く。裏返して反対側もさっと焼いて取り出し(中は生でよい)、1枚を3等分に切る。
② オーブンペーパーの上にじゃがいもスライスを置き、その上にオリーブ、にんにく、プチトマト、しめじ、鶏肉、タイムを重ねる。途中で塩とイタリアンパセリを振り、一番上に①のレモンスライスを乗せ、上からオリーブオイル・挽いた白胡椒を振りかける。オーブンペーパーを閉じ(折りたたむかタコ糸で縛る)、オーブンに入れて約20分焼く。
<ペアリングその3>
ブレッド&バター ピノ・ノワール × まぐろのタルタル ガトー仕立て
ブレッド&バター ピノ・ノワール
アメリカンオークとフレンチオークで8~10カ月熟成。フレッシュな赤い果実にカカオをはじめとする樽の風味がしっかりと感じられるフルボディ赤。
産地/カリフォルニア
品種/ピノ・ノワール100%
参考小売価格/3,800円
ペアリングのポイント
「ボディのしっかりとしたピノ・ノワール。甘苦い味わいに負けてしまわないよう肉料理を合わせがちですが、もともとエレガントな品種なだけに、血の味わいが濃いまぐろのほうがバランスはとりやすいと思いました。まぐろは本まぐろでなく、めばちやきはだでOKです。玉ねぎやケッパーで具沢山にし、卵黄を加えてまったり感を増しておきましょう」(河井
RECIPE
まぐろのタルタル ガトー仕立て
材料(2人分)
まぐろ(サクまたは切り落とし)100g
玉ねぎ 25g
パセリ 5g
アンチョビー 1/2本
ケッパー 5g
マスタード 小さじ1/2
レモン汁 小さじ1/2
にんにくすりおろし 少々
オリーブオイル 小さじ1/2
卵黄 3g
塩胡椒 適量
セルフィーユ・スプラウト適量
ラディッシュ 1個
ピンクペッパー 適量
下準備:
・玉ねぎはみじん切りにして水にさらし、ペーパーでしっかり水気を取る。
・ケッパーは塩漬けなら水で戻し、水気を切ってみじん切り。パセリ、アンチョビーもみじん切りにする。
作り方:
① まぐろを包丁でざく切りにした後好みの細かさになるまでまな板の上で叩く。
② ①に他の材料を加えてよく混ぜる。
③ 皿の上に丸形セルクルを置き、まぐろのタルタルを詰めて抜く。ハーブとスプラウト、ラディッシュの薄切りを飾り、潰したピンクペッパーとオリーブオイルを振りマヨネーズソースと余った卵黄を添える。
●マヨネーズソース:マヨネーズ10gとタバスコ2滴を混ぜたものを牛乳約5gでソース状に伸ばす。